事業再生38 再生を加速させる “月次決算” の力――早期意思決定のための導入と活用術


迷いを断つには“毎月の数字”が必要だ

事業再生は、今日の判断が明日の命運を決める戦いです。
年に一回の決算だけでは遅すぎる。赤字を早期に食い止め、改善策を即実行するには、毎月の経営状況を正確に把握する月次決算が不可欠です。

月次決算を導入しない中小企業には、次のような共通課題があります:

  • 月次試算表がない、または遅れて作られている
  • 部門別損益や在庫など細かい管理会計ができていない
  • 数値を見ての即時判断ができず、対応が後手に回る

月次決算を導入すれば、異変の予兆を早期に察知し、改善アクションを取れる体制を持てるようになります。


月次決算の基本:何をいつやるか

月次決算は「1か月分の業績を確定させる」プロセス。主な流れとチェックポイントを下記にまとめます:

ステップ主な作業内容チェックすべきポイント
1. スケジュール確認・共有各部門に提出期限を周知書類提出ルールの徹底
2. 現金・預金残高確認銀行通帳との整合性チェック差異の原因究明
3. 売上・売掛金の計上請求書ベースで売上を確定未請求・返品処理の確認
4. 経費の計上各費用を正確に振替仮払金や未精算経費の整理
5. 棚卸資産の確認在庫実数との照合棚卸差異の処理
6. 仮勘定・引当金の整理仮受金・仮払金・引当金など調整過年度修正の反映
7. 減価償却などの調整月次分の償却費を計上年次との整合性
8. 試算表の作成損益/貸借/資金繰りの試算表計画との差異分析
9. 分析・報告KPI・部門別分析と異常点抽出数字に基づいた改善案づくり

これらを翌月10日までに完成させる目標を掲げている中小企業もあります。


再生局面で月次決算をどう活用するか

✅ 異変の“予兆管理”として使う

月次の売上減少、原価上昇、資金繰りの悪化…一つひとつの変動が早期予兆になり得ます。中小企業庁の報告でも、月次ベースの数値把握は早期モニタリングの要とされています。

✅ 計画と実績の乖離を即時修正

事業再生では、立てた計画と実績にズレがあると致命的。毎月の乖離(かいり)を把握し、「なぜズレたか」「次月どう修正するか」を即判断するサイクルを回します。

✅ 部門別・担当別の責任範囲を見える化

どの部門が赤字になっているか、どの営業が貢献しているかを月次で把握。問題部門には早期手を打てます。

✅ 金融機関・保証機関への信頼材料に

月次決算速報や試算表を提示できる会社は、金融機関や信用保証機関からの評価が高まり、支援や融資を得やすくなります。


導入時に気をつけたいポイント

  • 完璧を目指しすぎず、「経営判断に役立つ精度」でまずスタート
  • 会計ソフトやクラウド型ツール導入で自計化(自社経理)を促進
  • 定期的なレビューと改善を組み込む(前月の改善点を次月に反映)
  • 担当者の教育と協力体制の確立。数字を見る目・解釈力を育てる

まとめ:月次決算は再生の“眼”となる

月次決算を導入・活用することで、赤字や資金繰り悪化の予兆を捉え、即行動に移すことが可能になります。
中小企業が“年次決算だけ”では間に合わない時代だからこそ、毎月の数字を武器としてください。

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