はじめに:黒字企業でも赤字プロジェクトを抱えていることがある
全体としては黒字でも、内部に“隠れ赤字プロジェクト”を抱えていると、実際のキャッシュフローを圧迫し、再生の足を引っ張ります。
葛飾区・江戸川区・墨田区・足立区といった地域の中小企業でも、「見た目は順調なのに資金繰りが苦しい」と感じる原因の多くは、こうしたプロジェクトの“ムダ”が潜んでいるケースです。
この記事では、不採算プロジェクトを見つける判断軸と、改善あるいは撤退のためのステップを解説します。
目次
- 隠れ赤字プロジェクトとは何か?
- 見直すべき5つの判断軸
- 改善 vs 撤退の判断ステップ
- 中小企業での実践イメージ
1. 隠れ赤字プロジェクトとは何か?
隠れ赤字プロジェクトとは、表向きには黒字やトントンに見えるが、実際にはコスト負荷が高く、利益に寄与していない、または資金消費が大きいプロジェクトのことです。
典型的な原因例:
- 間接費(管理部門負担、共通コストなど)を正しく配賦していない
- 引当金・減価償却・修繕費などを適切に織り込んでいない
- 見込み顧客対応や実験的案件などの“種まき”フェーズが長期化
- 利益率の低い案件を断れずに受注している
こうしたプロジェクトがあると、会社の余力を削り、再生の障害になります。
2. 見直すべき5つの判断軸
以下の観点でプロジェクトを定量・定性両面から評価することが重要です。
| 軸 | 内容 | チェックポイント |
|---|---|---|
| キャッシュ効率 | キャッシュ消費量と回収速度 | 入金期間が遅い、前金なし、後入金型なら要注意 |
| 利益率 | 売上に対する実質利益率 | 原価・間接費を含めて利益率が低すぎないか |
| 将来性/成長性 | 顧客ニーズの持続性 | 今後需要が確保できるか、競合価値があるか |
| 資源集中度 | 人材・設備・資金の拘束度 | 他に転用できないほどのリソースを使っていないか |
| リスク負荷 | 品質クレーム・債権回収リスク | クレーム率高・回収不能リスクを抱えていないか |
これらを組み合わせて、プロジェクトごとの“収益/負荷の総合指標”を作ると見極めやすくなります。
3. 改善 vs 撤退の判断ステップ
不採算プロジェクトでも、簡単には切るべきではありません。以下のステップで判断と対応を進めましょう。
ステップ①:数値シミュレーションを作成
- 現状/改善/撤退シナリオのキャッシュフローを比較
- どの程度の改善努力で黒字化できるかを見極める
ステップ②:改善試行フェーズを設ける
- コスト削減、価格見直し、業務効率化、小規模な見直しで反応を試す
- 期間を決めて検証(例:3〜6ヶ月)
ステップ③:撤退判断基準の設定
- 改善しても損益分岐点に届かない
- 資金が長期間マイナスになっている
- 他の有望プロジェクトへのリソース転換メリットが大きい
ステップ④:撤退実行とリソース再配置
- プロジェクトの縮小、契約終了、在庫・設備処分
- 浮いた人的・資金的リソースを、利益率の高い部門へ再投資
ステップを明確にし、社内で合意形成を取りながら進めることが大切です。
4. 中小企業での実践イメージ
例えば、墨田区の食品製造業では次のようなケースがありました。
- ある商品ライン(新商品開発部門)は売上を伸ばしていたものの、原価上昇と広告費の投入が過大になり、キャッシュ回収が追いつかず、実質的には赤字状態だった。
- 判断軸を用いて見直しを行った結果、価格改定と広告効率化で改善可能と判断。試行フェーズを半年間行い、改善が見られなかった部分を他商品の販促に切り替え。
- 結果、会社全体の利益率向上とともに、資金繰りにも余裕が出て再生を後押しするプロジェクトに転換できた。
このように、「見えている売上」ではなく、「資金効率・利益性」で見直す視点が勝敗を分けます。
まとめ
✅ 隠れ赤字プロジェクトは“収益を食いつぶす爆弾”になり得る。
✅ キャッシュ効率・利益率・成長性など複数軸で見極めよう。
✅ 改善試行を短期間で行い、撤退ラインを明確にすることが成功の鍵。
不採算プロジェクトの見極めや撤退判断で迷われる方は、ぜひご相談ください。
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