🔍 はじめに
借入金(負債)がある会社でも、事業承継は十分可能です。ただし、借入金・保証・財務状況などが承継を難しくする要因となるため、事前準備と金融機関との交渉戦略が非常に重要です。本記事では、借金のある企業が承継を進める際のポイントと、金融機関との信頼関係構築の方法を解説します。
目次
- 借入金がある会社の承継は可能か?
- 承継で問題になりやすいポイント
- 借入金を抱えた企業が取るべき対策
- 金融機関との交渉戦略と信頼構築法
- まとめ
1. 借入金がある会社の承継は可能か?
- 事業承継では、経営権や自社株だけでなく、会社の負債も一緒に引き継ぐのが原則です。
- ただし、承継のスキーム(株式譲渡、事業譲渡、M&Aなど)や借入契約の条項(Change of Control 条項=所有・支配構造変化条項など)によって、引き継ぐ負債の範囲や処理方法が変動することもあります。
- また、借入金自体ではなく、**経営者保証(個人保証・連帯保証)**が後継者のリスクを大きくすることが多く、これをどう扱うかが承継成功の鍵になります。
つまり、「借金がある=承継できない」わけではありませんが、適切な対応が不可欠です。
2. 承継で問題になりやすいポイント
| 問題 | 内容 |
|---|---|
| 経営者保証の扱い | 旧経営者が保証していた借入金の保証義務をどう解除または見直すか。これが後継者の足かせになるケースが多い。 |
| Change of Control 条項 | 株主構成や支配構造が変わると、借入契約で契約解除や条件変更を認められているケース。対応が必要。 |
| 債務全体の規模・質 | 短期借入が多い、金利が高い、借入先が多数、返済期限が近い、担保付き債務などは承継のハードルを上げる。 |
| 信用力の変化 | 後継者や経営体制が変わると、銀行が信用を見直す。返済期間延長・条件変更を提示されることも。 |
| 債務超過状態 | 資産より負債が多い会社は、承継前に「債務圧縮」「再編」などが必要になることも。 |
これらを放置すると、承継後に金融機関から借入条件の変更を迫られたり、最悪の場合資金繰り悪化で経営が立ち行かなくなるリスクがあります。
3. 借入金を抱えた企業が取るべき対策
- 財務改善・借入圧縮
- 不要資産売却、コスト削減、収益性の見直しで借入負担を軽くする
- 役員借入金を返済・整理する(会社債務の見直し) - 負債構成の見直し/リファイナンス
- 借入条件を見直し、返済期間延長・金利変更の交渉
- 他の金融機関で借り換え、劣後ローンへの借換(DES 等)を検討 - 保証解除交渉・保証見直し
- 「経営者保証に関するガイドライン」を利用し、個人保証・連帯保証の解除を目指す
- 法人と個人の資産分離、財務開示の透明性向上など、保証解除の材料となる条件を整える - 債務免除交渉・相続放棄
- 金融機関と協議し、後継者以外の相続人の債務免除を取り付ける
- 必要なら相続放棄を検討(ただし、他相続人との調整が不可欠) - 承継スキームの選定
- 株式譲渡型/事業譲渡型/M&A型など、借入金処理と整合するスキームを選ぶこと
- 事業譲渡型では、借入金を承継先が引き継ぐ場合、金融機関の同意が必要なケースが多い
4. 金融機関との交渉戦略と信頼構築法
- 早めの相談が命
承継検討段階や交代前に、主取引銀行や保証会社に状況を説明し相談を始めることが望ましい。銀行も事業承継支援に関心を持つようになっており、相談窓口を設けている場合もあります。 - 経営計画と返済計画を提示
後継者のビジョン・収支計画・キャッシュフロー見通しなどをまとめ、銀行に信頼性を示す。信頼性高い計画が交渉力を支える。 - 保証負担の整理材料を準備
法人と個人の資産を明確に分離、担保提供、定期預金への質権設定など「保証解除の根拠」となる材料を揃える。 - 段階的対応を提案
すべての保証を一度に解除するのは難しいため、段階解除・分割解除など柔軟な提案をすることで銀行を巻き込みやすくなる。 - 第三者の意見を取り入れる
税理士・弁護士・中小企業診断士など、公正な立場の専門家を交えて調整・交渉を進めると説得力が増す。
5. まとめ
借入金がある会社でも、事業承継は十分可能です。ただし、借入金・保証・信用という3つのハードルを乗り越えるには、事前準備、交渉力、金融機関との信頼関係が欠かせません。
承継をスムーズに進めるためには、早期に対策を始め、専門家と連携しながら段階的に整理・交渉を進めましょう。
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