経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業|業務改善コースで“今の事業を強くする”設備・システム投資を後押し

📋 「新しい事業を始めるほどではない。でも、このままのやり方では利益が残りにくい。」そんな会社ほど、この制度は相性があります。東京都中小企業振興公社の「経営力強化に向けた創意工夫チャレンジ促進事業(業務改善コース)」は、既存事業の“深化”や“発展”につながる取組に対して、上限600万円、助成率3分の2以内で支援する制度です。単なる古い設備の入れ替えではなく、競争力強化や生産性向上、新たな提供方法の導入など、経営基盤を強くする投資が対象になります。

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目次

業務改善コースはどんな制度か
どんな会社が対象になるのか
何に使えるのか、何が対象外なのか
募集時期と申請の注意点
通りやすい会社、見送りたい会社
よくある質問
今日やるべき3つ

1. 業務改善コースはどんな制度か

「補助金を使って何か新しいことをしなければ」と考えると、かえってズレやすいです。この制度で大事なのは、今やっている事業を、もっと強くすることです。

公社の案内では、対象となる取組を大きく2つに分けています。ひとつは、既存事業の深化です。これは、高性能な機器や設備の導入、既存の商品・サービスの品質向上、高効率機器や省エネ機器の導入などにより、今の事業の質や生産性を高める取組です。もうひとつは、既存事業の発展で、既存事業で得た知見をもとに、新たな商品・サービスの開発や、新しい提供方法の導入などを進める取組です。

つまり、ゼロから別事業を始める制度というより、いまの商売を土台にして、利益の出方を改善する制度と考えると分かりやすいです。現場の手間が大きい、品質がばらつく、納期が安定しない、販売方法が古い、そうした悩みに対して、設備やシステム、外注などを使って経営体質を変えていく。そこに予算がつく制度です。

2. どんな会社が対象になるのか

この制度は、都内中小企業等のうち、直近決算期の営業利益が前期決算期と比べて減少している会社、または直近決算期で損失を計上している会社が対象です。つまり、順調に利益が伸びている会社よりも、いまの経営環境の変化を受けて、利益面で苦戦している会社を支える設計になっています。

ここはとても重要です。単に「使えそうだから申し込む」という制度ではありません。利益が落ちている、または赤字になっている。その原因に対して、どう改善投資をするかが問われます。言い換えると、現状の苦しさがある会社ほど、この制度の趣旨に合いやすいです。今のままでは厳しい、でも何を変えるかは見えてきた。そんな段階の会社には、とても使いやすい制度です。

3. 何に使えるのか

助成限度額は600万円、助成率は助成対象経費の3分の2以内です。対象経費には、原材料・副資材費、機械装置・工具器具費、委託・外注費、産業財産権出願・導入費、規格等認証・登録費、設備等導入費、システム等導入費、専門家指導費、不動産賃借料、販売促進費、その他経費が含まれています。

このラインナップを見ると、かなり幅があります。たとえば製造業なら、生産性を高めるための設備導入や省エネ機器の導入。サービス業なら、提供方法を変えるためのシステム導入。小売や飲食でも、業務負担を減らしながら販路を見直す取組に使える可能性があります。単なる機械購入の制度ではなく、設備・システム・外注・販売促進まで含めて経営改善を組み立てられるのが魅力です。

ただし、何でも通るわけではありません。公社は、委託・外注費のうち「市場調査費」「専門家指導費」「販売促進費」「その他経費」の単独申請はできないと明記しています。また、販売促進費については、既存事業に係る販売促進は対象外とされています。つまり、「広告だけ出したい」「調査だけしたい」という申請は難しく、あくまで経営基盤強化の全体の中で必要な費用として組み込むことが大切です。

4. 対象外になりやすい取組

ここを外すと、かなり危険です。公社が対象外として示しているのは、これまで営んできた事業との関連性が薄い、または全くない取組法令改正への対応など義務的な取組、そして単なる老朽設備の維持更新など、競争力や生産性向上に寄与しない取組です。

この3つは実務上とても大事です。特に多いのが、「壊れそうだから入れ替えたい」という相談です。もちろん現場としては切実ですが、制度上はそれだけでは弱いです。大切なのは、その入れ替えによって何が改善するのかです。加工精度が上がるのか、作業時間が減るのか、不良率が下がるのか、エネルギーコストが下がるのか、受注できる案件の幅が広がるのか。ここまで言えないと、“維持更新”に見えやすいです。

5. 募集時期と申請の注意点

申請はJグランツによる電子申請です。利用にはgBizIDプライムが必要です。公社のページでは、gBizIDプライムのアカウント発行には、書類に問題がなければ審査に1週間程度と案内しつつ、別の箇所では2〜3週間かかるため事前登録を求めています。安全に考えるなら、かなり早めの取得が必要です。

募集予定は年4回示されており、第1回は令和8年5月11日14時から5月29日16時まで、第2回は8月3日から8月14日16時まで、第3回は11月2日から11月13日16時まで、第4回は令和9年2月1日から2月12日16時までです。第1回については、申請受付期間中は先着順ではなく、すべての申請を受け付けるとも明記されています。

また、賃上げ重点コースまたは新市場・新分野進出コースとの重複申請は受け付けないこと、さらに令和8年度中小企業収益力強化サポート事業のハンズオン支援の決定通知を受けた方は申請不可である点も注意が必要です。予算の都合等により募集予定が予告なく変更される可能性もあるため、最新情報の確認は必須です。

6. この制度が向いている会社

この制度が向いているのは、たとえば次のような会社です。

① 設備やシステムの見直しで利益体質を改善したい会社

営業利益が落ちている理由が、人手不足、作業負担、エネルギーコスト、品質ばらつき、納期対応力の不足などにある場合、この制度はかなり相性がよいです。高性能機器や省エネ機器、業務システムの導入などは、公社の取組例とも合っています。

② 既存事業を土台に新しい売り方や提供方法を試したい会社

全く別業種に飛び込むのではなく、今ある強みを使って新サービスや新提供方法に広げたい会社にも向いています。既存事業で得た知見に基づく新たな取組が「発展」の例として明記されています。

③ “広告だけ”ではなく、業務改善と販路見直しを一体で考えたい会社

販売促進費は入っていますが、既存事業の単純な販促は対象外です。だからこそ、設備・システム・外注・販促を一体で設計し、「なぜ今この投資が経営基盤強化につながるのか」を説明できる会社が強いです。

7. 逆に、見送ったほうがいい会社

一方で、次のような場合は見送り判断も大切です。

① とりあえず設備を買い替えたいだけ

老朽化した機械の入れ替え自体は現場として必要でも、それが競争力や生産性向上にどう結びつくかが弱いと、この制度では厳しいです。

② 既存事業と関係の薄い挑戦をしたい

「今の商売とは別のことを始めたい」という話は魅力的に聞こえますが、この制度では関連性の薄い取組は対象外です。

③ gBizIDや電子申請の準備が後回しになっている

制度の中身が良くても、申請体制が間に合わなければ意味がありません。特にgBizIDは、ギリギリで動くと痛い目です。

8. よくある質問

Q1. 広告費だけで出せますか?

A1. 難しいです。委託・外注費のうち、市場調査費、専門家指導費、販売促進費、その他経費の単独申請はできないとされています。また、既存事業に係る販売促進は対象外です。

Q2. 先着順ですか?

A2. 第1回募集については、申請受付期間中の申請をすべて受け付けると明記されており、先着順ではありません。

Q3. 紙では出せませんか?

A3. 公社ページでは、Jグランツによる電子申請受付と案内されています。

Q4. 去年の一般コースの様式は使えますか?

A4. 使えません。令和8年度の業務改善コースの最新版申請書を使う必要があり、令和7年度「事業環境変化に対応した経営基盤強化事業(一般コース)」の申請書は使用できないと明記されています。

9. 今日できる3つ

今日①:直近決算で営業利益が落ちている理由を1枚で整理する

制度に通るかどうかの前に、まず自社の課題を言葉にすることが大切です。

今日②:その課題を改善する投資が“深化”か“発展”かを分けて考える

設備なのか、システムなのか、提供方法の見直しなのか。ここがぼやけると計画も弱くなります。

今日③:gBizIDプライムの状況を確認する

まだなら、ここを後回しにしないことです。制度の理解より先に、申請の入口で詰まる会社は少なくありません。

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