新事業進出・ものづくり補助金 新事業進出枠とは|“新規性”と“新市場性”をどう説明するか
この記事でわかること
新事業進出枠で多くの会社が迷う、「新規性」と「新市場性」の考え方を整理します。どんな事業が対象になりやすいか、逆にどんな計画が既存事業の延長に見えやすいか、そして申請書でどう説明すれば伝わりやすいかまで、実務目線で解説します。
新事業進出枠でいちばん多い悩みは、設備や経費の前に、そもそも自社がこの枠に当てはまるのかという点です。
特に分かりにくいのが、「新規性」と「新市場性」です。言葉だけ見ると難しそうですが、考え方の軸はシンプルです。「今までの自社と何が違うのか」、そして「今までの顧客・市場と何が違うのか」を言葉にできるかどうかです。
この記事では、新事業進出枠の考え方を整理しながら、申請書で弱くなりやすいポイントと、逆に伝わりやすい整理の仕方をまとめます。
目次
- 新事業進出枠とは何か
- 新規性とは何を意味するのか
- 新市場性とは何を意味するのか
- どんな業種が使いやすいか
- 対象外になりやすい例
- 補助率・補助上限・対象経費
- 申請書での説明のコツ
- 当社ができる支援
- よくある質問
新事業進出枠とは何か
新事業進出枠は、既存事業とは異なる新市場・高付加価値事業への進出を支援する枠です。
ここで大事なのは、「世の中にとって新しいこと」をやる必要はないという点です。日本初や世界初である必要はありません。基準になるのは、自社にとって新しいかどうかです。
ただし、その一方で、既存事業の延長線上に見えるものは弱くなります。つまり、新事業進出枠では、今までと同じ顧客に、今までと似たものを、少し形を変えて売るだけでは通りにくいということです。
新事業進出枠を一言でいうと
新事業進出枠は、「自社の今までとは違う商品・サービスを、今までとは違う市場へ届ける投資」を支援する枠です。
新規性とは何を意味するのか
新規性で見られるのは、今回新たに製造・提供する製品やサービスが、自社にとって新しいかという点です。
ここで注意したいのは、「少し変えた」だけでは弱いことです。たとえば、既存商品の色違い、サイズ違い、軽微な仕様変更だけでは、新規性としては弱く見えやすいです。
逆に、新規性として整理しやすいのは、次のようなケースです。
- 今まで作っていなかった製品分野に新たに参入する
- 既存の技術を応用して、まったく別用途のサービスを立ち上げる
- 既存商品とは収益構造や提供方法が異なる新サービスを始める
つまり、新規性とは「新しい設備を入れること」ではなく、自社の事業として新しい柱になるかを問われていると考えると分かりやすいです。
新市場性とは何を意味するのか
新市場性で見られるのは、今回の製品・サービスが、自社にとって新しい市場に向かっているかという点です。
ここでいう市場とは、単なる地域の違いだけではありません。大事なのは、顧客層や顧客ニーズが変わっているかです。
たとえば、次のようなケースは新市場性を説明しやすいです。
- 法人向け中心の事業から、個人向け高付加価値サービスへ展開する
- 建設業向け製品を、医療・福祉向けへ広げる
- 既存顧客とは異なる業界・属性に向けて商品を展開する
反対に、既存の取引先とほぼ同じ層に対して、似た商品を販売するだけでは、新市場性が弱く見えやすいです。
| 観点 | 強い例 | 弱い例 |
|---|---|---|
| 顧客層 | 法人向けから個人向けへ | 今までと同じ取引先向け |
| 業界 | 別業界向けへ展開 | 同業界内で横展開 |
| ニーズ | 今までと違う課題解決を提供 | 似たニーズへの再提案 |
どんな業種が使いやすいか
新事業進出枠は、特定業種だけの制度ではありません。大切なのは、「その業種で、どんな新しい市場へ行くのか」です。
実務上、比較的当てはめやすいのは次のような業種です。
| 業種 | 使いやすいテーマ例 | ポイント |
|---|---|---|
| 製造業 | 既存技術を活かして別業界向け製品へ参入 | 今の取引先とは違う業界・用途へ広げると整理しやすい |
| 建設業 | 請負中心から自社サービス・自社商品販売へ展開 | 売り方や顧客層の違いが重要 |
| 食品業 | 業務用中心から個人向け高付加価値商品へ展開 | 販路・顧客ニーズの違いを見せやすい |
| 小売・卸売 | 既存仕入販売から自社ブランド・新市場向け商品へ展開 | 商品だけでなく収益構造の違いも示しやすい |
| サービス業 | 既存顧客とは異なる属性向けの新サービスを立ち上げる | 既存メニュー追加だけでは弱い |
| 医療・ヘルスケア周辺 | 既存の支援先と異なる対象者向けの新サービスへ展開 | 顧客層の違いを明確にすることが大事 |
つまり、「この業種なら使える」ではなく、「この業種でこういうテーマなら使いやすい」と考えるのが正解です。
対象外になりやすい例
新事業進出枠では、見た目には新しそうでも、実際には既存事業の延長と見られやすいケースがあります。
- 既存商品の単なる増産
- 過去にやっていた事業の再開
- 既存商品の製造方法を少し変えるだけ
- 既存サービスにメニューを1つ追加するだけ
- 今までとほぼ同じ顧客に売るだけ
こうしたケースは、投資自体が不要という意味ではありません。ただ、新事業進出枠の言葉で語るには弱い、ということです。
補助率・補助上限・対象経費
新事業進出枠の補助率は、中小企業者で原則1/2です。一定条件を満たす場合は2/3の適用余地があります。
補助上限額は、従業員数1〜20人で2,500万円、21〜50人で4,000万円、51〜100人で5,500万円、101人以上で7,000万円です。賃上げ特例を満たす場合は上乗せがあります。
対象経費は、機械装置・システム構築費、建物費、運搬費、技術導入費、知的財産権等関連経費、外注費、専門家経費、クラウドサービス利用費、原材料費、広告宣伝・販売促進費などです。
ここで重要なのは、機械装置・システム構築費または建物費のいずれかが必須だという点です。ただし、設備や建物があれば通るわけではなく、あくまで新市場・新事業の説明が先です。
申請書での説明のコツ
新事業進出枠で伝わりやすい申請書にするには、次の順番で整理すると分かりやすいです。
1.既存事業を先に整理する
今の主力商品、顧客層、売上構成、強みを整理します。ここがないと「何が新しいのか」が伝わりません。
2.新しい事業を定義する
新たに取り組む製品・サービスの内容、顧客層、収益のつくり方を明確にします。
3.違いを並べて見せる
既存事業と新事業の違いを、商品、顧客、市場、収益構造の観点で並べて見せると伝わりやすいです。
| 比較項目 | 既存事業 | 新事業 |
|---|---|---|
| 商品・サービス | 既存の主力商材 | 今回新たに提供する商材 |
| 顧客層 | 既存の主要顧客 | 今回狙う新しい顧客 |
| 市場 | 現在の事業領域 | 新たに狙う市場領域 |
| 収益構造 | 既存の売上構造 | 新事業の収益のつくり方 |
このように整理すると、「少し新しい話」ではなく「既存事業とは違う話」として伝わりやすくなります。
当社ができる支援
新事業進出枠でいちばん難しいのは、自社がやりたいことを、新規性・新市場性の言葉で整理することです。
当社では、
- 新事業進出枠に当てはまるかの確認
- 既存事業との違いの整理
- 新規性・新市場性の言語化
- 市場分析と差別化の整理
- 補助対象経費や数字計画の確認
まで含めて伴走しています。
「新しい事業をやりたいが、この枠で説明できるか分からない」
「既存事業との切り分けが難しい」
そんな場合は、早めに整理する方が計画全体が強くなります。
無料相談はこちら
新事業進出枠に当てはまるか、新規性・新市場性をどう整理すべきか迷う方は、無料相談をご利用ください。
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よくある質問
Q1. 世の中に同じ商品があっても新事業進出枠は使えますか?
A. はい。世の中にとって新しい必要はありません。大事なのは、自社にとって新しい事業かどうかです。
Q2. 既存商品の増産は対象になりますか?
A. 基本的には弱いです。既存事業の延長と見られやすいため、新市場性や新規性の説明が難しくなります。
Q3. 地域が変わるだけでも新市場になりますか?
A. それだけでは弱いことがあります。大切なのは、顧客層や顧客ニーズが変わるかです。
Q4. 相談した方がいいのはどんなケースですか?
A. 既存事業との切り分けが難しい場合、新市場性の説明に迷う場合、設備投資が大きい場合は早めの相談がおすすめです。
まとめ
新事業進出枠でいちばん大切なのは、「今までの自社と何が違うのか」を、商品だけでなく、顧客・市場・収益構造まで含めて説明することです。
つまり、判断のポイントは次の3つです。
- 今回の製品・サービスは、自社にとって新しいか
- 今回の顧客・市場は、自社にとって新しいか
- 既存事業の単なる延長に見えないか
まずは、既存事業と新事業の違いを並べて見える化することから始めるのがおすすめです。

