新事業進出・ものづくり補助金 子育て等に関する職場環境整備に向けた取り組み要件とは|3つの選択肢と申請時の書き方
この記事でわかること
新事業進出・ものづくり補助金で見落としやすい、子育て等に関する職場環境整備に向けた取り組み要件について、3つの選択肢の違い、どれを選ぶべきか、申請時に何を書けばよいか、実績報告で何を残すべきかを整理します。
この補助金では、設備投資や事業計画ばかりに目が向きやすいですが、実務で見落としやすい要件があります。その一つが、子育て等に関する職場環境整備に向けた取り組み要件です。
この要件は、単なる補足事項ではありません。申請時に事業計画へ具体的な内容を書く必要があり、採択後の実績報告では、実施したことが分かる証跡まで求められるため、後回しにすると危険です。
しかも、選択肢は1つです。何となく選ぶのではなく、自社にとって実行しやすく、証跡も残しやすいものを選ぶ必要があります。
この記事では、この要件を申請実務の目線で整理し、書き方まで落とし込みます。
目次
- 子育て等に関する職場環境整備に向けた取り組み要件とは
- 3つの選択肢の内容
- どの選択肢を選ぶべきか
- 申請時に何を書けばいいのか
- 実績報告で何を残すべきか
- 免除されるケース
- 当社ができる支援
- よくある質問
子育て等に関する職場環境整備に向けた取り組み要件とは
この要件は、補助金の応募にあたって、子育て等に関する職場環境整備に向けた取り組みを1つ選んで行うことを求めるものです。
ポイントは、申請時に具体的内容を事業計画へ記載することと、一般事業主行動計画の内容に留まらない追加的な取組として説明することです。
さらに、採択後の実績報告では、実際にその取り組みを行ったことが分かる証跡の提出が求められます。つまり、申請書に書くだけでは足りません。
ここが重要
この要件は、「何をやるかを選ぶ」→「申請時に書く」→「後で証跡を出す」までがセットです。だからこそ、実行しやすい取り組みを選ぶことが大切です。
3つの選択肢の内容
この要件では、次の3つから1つだけ選択します。
1.ライフデザインサービスを活用する
若手従業員が活用できることを目的に、ライフデザインサービスを活用する方法です。
具体的には、ライフプラン表や中長期の家計表の作成を伴うサービスや、家計、保険、住宅ローン、資産運用、老後資金などについて、従業員へ助言や提案を行うサービスが該当します。
若手従業員の将来不安を軽減したい会社や、定着支援を重視したい会社と相性がよいです。
2.家事代行サービス・ベビーシッターサービスを活用する
社員の育児等を支援することを目的に、家事代行サービスまたはベビーシッターサービスを活用する方法です。
子育て世代の従業員支援としてイメージしやすく、比較的、取り組みの具体性も出しやすい選択肢です。
一方で、何でも対象になるわけではありません。要件上、対象となるのは、指定された参考先に掲載されている事業者が提供するサービスに限られます。
3.各種既存制度の周知・普及・啓発を行う
子育て等に関する職場環境整備に係る既存制度を、従業員へ周知・普及・啓発する方法です。
例としては、産前・産後休業、育児休業、育児休業取得者の職場復帰支援、所定外労働の制限・削減、短時間勤務制度、フレックスタイム制度、年次有給休暇、女性労働者の就業継続やキャリア形成支援などがあります。
社内制度はあるが浸透していない会社、比較的取り組みやすい形で進めたい会社と相性がよいです。
| 選択肢 | 向いている会社 | 実務上の注意 |
|---|---|---|
| ライフデザインサービス | 若手定着や将来設計支援を重視したい会社 | サービス内容が要件に合うか確認が必要 |
| 家事代行・ベビーシッター | 子育て世代支援を具体的に打ち出したい会社 | 対象事業者の確認が必要 |
| 制度の周知・普及・啓発 | 既存制度を社内に浸透させたい会社 | 周知方法と証跡の残し方が重要 |
どの選択肢を選ぶべきか
実務上は、「自社にとって無理なく実行でき、証跡も残しやすいもの」を選ぶのが基本です。
選び方の順番は、次の3つで考えると整理しやすいです。
- 実際に実行しやすいか
- 申請時に具体的に書きやすいか
- 実績報告で証跡を残しやすいか
たとえば、制度周知・普及・啓発は比較的取り組みやすい一方で、周知した証跡をどう残すかを決めておかないと後で困ります。
家事代行・ベビーシッターは具体的ですが、対象事業者の確認が必要です。
ライフデザインサービスは若手支援として意味がありますが、サービス内容が要件に合うかを先に見た方が安全です。
選び方のコツ
申請で見栄えがよさそうな内容より、「実際にできる」「あとで証跡を出せる」取り組みを選ぶ方が安全です。
申請時に何を書けばいいのか
申請時は、単に「取り組みます」と書くだけでは弱いです。少なくとも次の4点は入れた方が整理しやすいです。
1.どの選択肢を選んだか
3つのうち、何を選ぶのかを明確にします。
2.なぜその取り組みを選んだのか
自社の従業員構成や課題感に照らして、その取り組みが必要な理由を書きます。
3.具体的に何をするのか
いつ、誰に対して、どのように実施するのかを具体化します。
4.追加的な取組であること
今回の取り組みが、一般事業主行動計画の内容に留まらない追加的な内容であることを説明します。
| 書く項目 | 記載イメージ |
|---|---|
| 選択した取り組み | 制度周知・普及・啓発を実施する など |
| 選定理由 | 子育て世代・若手従業員への浸透が必要 など |
| 具体策 | 説明会、資料配布、案内文送付、サービス導入 など |
| 追加性の説明 | 既存計画に加えて今回新たに行う内容 など |
実績報告で何を残すべきか
この要件は、申請時に書いて終わりではありません。実績報告時には、取り組みを行ったことが分かる証跡が必要になります。
選択肢によって残しやすい証跡は違いますが、たとえば次のようなものが考えられます。
- サービス利用申込書や契約書
- 実施案内、周知資料、説明会資料
- 社内通知、配布記録、参加記録
- 利用実績や実施記録が分かる資料
大切なのは、実施前から「何を証跡にするか」を決めておくことです。
免除されるケース
プラチナくるみん認定、くるみん認定、トライくるみん認定のいずれかを取得している事業者は、この要件が免除されます。
該当する場合は、余計な準備を重ねないように、先に認定状況を確認しておくとスムーズです。
当社ができる支援
この要件で難しいのは、制度説明を読むことよりも、「自社なら何を選ぶのが現実的か」「どう書けば追加的取組として説明できるか」を整理することです。
当社では、
- 3つの選択肢のうちどれが合うかの整理
- 申請書への書き方の整理
- 追加性の説明の整理
- 証跡の残し方の確認
- 他の申請準備項目との優先順位整理
まで含めて伴走しています。
「どの取り組みを選べばいいか迷う」
「申請時にどう書けばよいか分からない」
そんな場合は、早めに整理する方が全体の申請が楽になります。
よくある質問
Q1. 一般事業主行動計画を出していれば十分ですか?
A. それだけでは足りません。今回の取り組みが、一般事業主行動計画に留まらない追加的なものとして説明できる必要があります。
Q2. 3つ全部やる必要がありますか?
A. いいえ。3つのうち1つを選択して取り組みます。
Q3. どれを選ぶのが一番通りやすいですか?
A. 通りやすさより、実際に実行しやすく、証跡を残しやすいものを選ぶ方が安全です。
Q4. どんな会社が免除されますか?
A. プラチナくるみん、くるみん、トライくるみんのいずれかを取得している事業者です。
まとめ
子育て等に関する職場環境整備に向けた取り組み要件で大切なのは、
- 3つの選択肢から自社に合うものを選ぶこと
- 申請時に具体的内容を書くこと
- 追加的な取組として説明すること
- 実績報告の証跡まで見据えておくこと
この4つです。
まずは、「何を選ぶか」「どう書くか」「何を証跡にするか」を整理するところから始めるのがおすすめです。

