事業再生80📋 廃業する会社あるある|相談が遅く「選択肢がなくなる」会社の共通点
「もっと早く相談していれば、別の方法があったかもしれない」。事業再生や廃業支援の現場では、この言葉がよく出ます。
廃業する会社の中には、相談する必要性を感じていなかった会社だけでなく、苦しいと分かっていながら相談を先送りした会社もあります。経営者は、従業員、取引先、家族を守りたいという責任感から、自分だけで抱え込んでしまいます。しかし、資金が尽きる直前まで動かないと、借換、リスケ、事業譲渡、第二会社方式、私的整理などの選択肢が減っていきます。
この記事では、相談が遅れて廃業に近づく会社の「あるある」と、早期相談によって残せる可能性があるものを整理します。足立区や墨田区の事業者にも共通する、事業再生の重要な判断ポイントです。
1. 「まだ支払えているから大丈夫」と考える
資金繰りが悪化している会社でも、預金残高が残っている間は危機感が弱くなりがちです。
しかし、本当に見るべきなのは今日の預金残高ではなく、今後の入出金です。
例えば、現在の預金残高が1,000万円あっても、翌月に次の支払いがある場合は安心できません。
・給与400万円
・仕入500万円
・借入返済100万円
・税金200万円
・家賃その他100万円
入金予定が800万円なら、翌月だけで500万円の資金が減ります。さらに売掛金の入金が遅れれば、短期間で支払いが難しくなります。
資金繰りの危険度は、次の3つの時間軸で確認します。
| 時間軸 | 確認すること |
|---|---|
| 30日 | 給与、仕入、税金、返済を支払えるか |
| 90日 | 資金不足がいつ発生するか |
| 180日 | 改善策の効果が出るまで持つか |
相談の目安は、預金がゼロになってからではありません。90日以内に資金不足が見込まれる段階で、金融機関や支援機関との協議を始める必要があります。
2. 借入で毎月の赤字を埋め続ける
廃業に至る会社でよく見られるのが、構造的な赤字を借入で補っている状態です。
借入そのものが悪いわけではありません。設備投資や受注増加に伴う運転資金など、将来の利益につながる借入は、事業成長に必要です。
問題は、赤字の原因を変えずに借入だけを増やすことです。
例えば、毎月100万円の営業赤字がある会社が1,200万円を借りても、改善しなければ約1年で資金を使い切ります。その後は、借入残高と返済負担だけが増えます。
借入を申し込む前に、資金不足の原因を次の3つに分けます。
・粗利不足
・固定費過多
・売掛金や在庫の回転悪化
粗利不足なら、値上げ、原価低減、商品構成の変更が必要です。
固定費過多なら、家賃、人員配置、車両、保険、リース、外注契約を見直します。
回転悪化なら、売掛金回収、在庫削減、支払条件の交渉が必要です。
原因を変えずに資金だけを投入すると、廃業時の負債が大きくなり、経営者保証や取引先への影響も広がります。
3. 税金・社会保険の滞納を隠す
資金繰りが厳しくなると、金融機関返済や仕入代金を優先し、税金や社会保険料を後回しにする会社があります。
納付が難しい場合は、早期に行政窓口へ相談する必要があります。何も連絡せずに滞納を積み上げると、延滞金や差押えのリスクが高まり、事業再生の選択肢が狭くなる可能性があります。
また、金融機関や支援者に滞納を隠すことも避けるべきです。
再生計画を作る際、税金や社会保険料の未払額を反映しなければ、資金繰り計画が成立しません。後から未払額が判明すると、計画の信頼性も失われます。
相談時には、次の金額を整理します。
・法人税、消費税、源泉所得税
・地方税
・社会保険料
・労働保険料
・延滞金
・分納中の金額と期限
恥ずかしいと感じる必要はありません。支援者にとって重要なのは、滞納の事実そのものより、正確な金額と今後の対応方針です。
4. 金融機関に悪い数字を見せない
「業績が悪いことを銀行に知られたら、融資を止められる」と考え、試算表や資金繰り表を提出しない会社もあります。
しかし、金融機関側は、預金の動き、返済状況、売上入金などから変化を把握している可能性があります。説明を避けるほど、「経営者が現状を把握していない」「情報を隠しているのではないか」と見られやすくなります。
金融庁が2026年3月に公表した中小企業版ガイドラインの改定では、有事の対応を迅速かつ円滑にするため、平時から中小企業者と金融機関がコミュニケーションを取る重要性が示されています。
金融機関へ相談するときは、次の順番で説明します。
- 現状
- 資金不足の時期と金額
- 悪化した原因
- 自社で行う改善策
- 必要な金融支援
- 月次報告の方法
「苦しいので返済を止めてほしい」だけでは、金融機関も判断できません。
「6か月の元金据置により360万円の資金を確保し、その間に不採算顧客の価格改定と固定費月50万円の削減を行う」と説明すれば、支援の目的が明確になります。
5. 家族にも相談していない
経営者が会社の資金繰りを家族に話していないケースもあります。
家族を心配させたくない気持ちは理解できます。しかし、経営者保証、自宅担保、家族からの借入、生活費の投入がある場合、会社の問題は家族の生活に直接影響します。
相談が遅れると、家族名義の預金や資産を会社へ投入した後で、結局廃業することもあります。
会社へ追加資金を入れる前に、次の点を確認します。
・投入した資金で何か月持つか
・改善策の効果が出る時期
・改善が未達だった場合の撤退基準
・個人保証の残高
・自宅や個人資産への影響
・家族の生活費を確保できるか
経営者個人の資金を入れることが、常に正解とは限りません。改善可能性がない会社に家族資金を投入すると、会社だけでなく家族の再出発まで難しくなります。
6. 早期相談の成功パターンと失敗パターン
成功パターン
成功例1:資金寿命120日の段階で相談
資金繰り表を作り、金融機関と返済条件を協議。粗利改善と固定費削減の時間を確保しました。
成功例2:廃業と事業譲渡を同時に比較
会社全体の継続は難しかったものの、黒字事業を他社へ譲渡し、従業員と顧客を引き継ぎました。
成功例3:早期経営改善計画を活用
専門家と資金繰り・採算管理を整え、廃業判断に至る前に改善施策を実行しました。
失敗パターン
失敗例1:預金が尽きるまで相談しない
専門家費用や従業員対応費用も確保できず、選択肢が限定されました。
失敗例2:税・社会保険の滞納を隠す
再生計画の途中で未払額が判明し、計画を作り直すことになりました。
失敗例3:家族資金をすべて投入
改善計画がないまま個人資金を使い、会社と家計の両方が苦しくなりました。
7. 今日できる3つ
今日①:30日・90日・180日の資金繰りを作る
今日②:借入、税金、社会保険、買掛金、未払給与を一覧にする
今日③:改善・事業譲渡・廃業の3案を同時に比較する
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