事業再生81📋 廃業する会社あるある|売上だけを追い「利益が残らない」会社の末路

廃業する会社の中には、売上が大きく落ちた会社だけでなく、売上があるのに利益と現金が残らない会社もあります。

経営者は売上を増やすために新規顧客を獲得し、仕事量を増やします。しかし、受注するほど赤字になる価格設定、値上げできない取引、増え続ける外注費、滞留する在庫を放置すると、忙しさと資金繰り悪化が同時に進みます。

2025年の休廃業・解散企業については、直近損益が黒字の企業も一定数ありました。廃業は「売上ゼロになった会社」だけの問題ではありません。物価高、人件費上昇、価格転嫁の遅れなどにより、事業継続を諦める企業もあります。

この記事では、事業再生の現場でよく見られる「利益管理をせずに廃業へ近づく会社あるある」と、改善するための数字の見方を解説します。葛飾区や足立区の製造業、建設業、サービス業でも共通する内容です。

1. 売上高だけで会社の良し悪しを判断する

「前年より売上が増えたから順調」と考える会社は少なくありません。

しかし、会社が残るかどうかを決めるのは、売上高ではなく、売上からいくら利益と現金が残るかです。

例えば、次の2社を比較します。

項目A社B社
売上高1,000万円800万円
変動費800万円520万円
粗利200万円280万円
固定費250万円230万円
営業利益▲50万円50万円

売上高はA社の方が大きいですが、利益はB社の方が高くなっています。

A社が売上だけを追い続けると、受注、仕入、外注、残業が増え、資金繰りがさらに悪化する可能性があります。

事業再生では、まず次の順番で数字を確認します。

  1. 商品別・顧客別の売上
  2. 商品別・顧客別の変動費
  3. 粗利額と粗利率
  4. 固定費
  5. 営業利益
  6. 売掛金・在庫・借入返済を含めた現金収支

売上を増やす前に、「増やすべき売上」と「減らすべき売上」を分けることが重要です。

2. 赤字顧客を「昔からの付き合い」で残す

廃業へ近づく会社では、赤字顧客との取引を長期間続けていることがあります。

理由を聞くと、次の回答が多くあります。

・創業当時から付き合いがある
・仕事を断ると他の注文もなくなる
・値上げを言うと嫌われる
・従業員の仕事を確保したい
・売上高が減るのが怖い

しかし、赤字顧客の仕事を続けることで、黒字顧客への対応時間が減っている可能性があります。納期が厳しく、仕様変更が多く、少量発注で、価格も低い顧客は、見かけの売上以上に会社の資源を使います。

顧客別採算では、材料費や外注費だけでなく、次の工数も確認します。

・見積作成
・受注処理
・段取り替え
・検査
・配送
・クレーム対応
・請求と回収
・社長の対応時間

取引を止めることだけが改善ではありません。

まずは、値上げ、最低注文額、特急料金、小ロット料金、配送条件、仕様変更料金などを設定します。

それでも採算が改善しない場合は、取引縮小や撤退を判断します。

3. 値上げできずコスト上昇を吸収する

原材料費、電気代、燃料費、物流費、人件費が上がっても、販売価格を据え置く会社があります。

値上げを避ける理由は、「顧客が離れるのが怖い」からです。

しかし、コスト上昇を自社だけで吸収し続けると、利益が減り、設備更新、人材採用、賃上げができなくなります。最終的には品質や納期にも影響し、かえって顧客に迷惑をかけることになります。

値上げを進める際は、「一律10%上げます」だけではなく、根拠と対象を整理します。

項目確認内容
原材料仕入単価が何%上昇したか
人件費最低賃金や採用費がどう変化したか
エネルギー電気・燃料費がどれだけ増えたか
個別工数小ロット、短納期、仕様変更の負担
提供価値品質、納期、技術、柔軟対応

値上げは全顧客同時でなくても構いません。

赤字幅が大きい顧客、手間が多い案件、新規案件から順番に進めます。顧客にとっても、突然取引先が廃業するより、適正価格で安定供給が続く方が望ましい場合があります。

4. 不採算事業を「いつか伸びる」と残し続ける

事業再生で廃業に至る会社の典型が、赤字事業を切れないことです。

新規事業、2号店、新商品、ECサイトなどに投資したものの、思うように売上が伸びない。それでも「ここまでお金を使ったのだから」と継続してしまいます。

これは、すでに支払った費用に引っ張られる状態です。過去にいくら投資したかではなく、今後追加で必要な資金と、将来得られる利益を比較しなければなりません。

撤退基準は、開始前または早い段階で決めます。

・6か月後の月商
・粗利率
・顧客数
・リピート率
・追加投資額
・資金流出の上限
・撤退日

例えば、「6か月後に月商300万円、粗利率40%、リピート率30%に届かなければ縮小する」と決めておけば、感情だけで続けることを防げます。

不採算事業を止めることは失敗ではありません。黒字事業へ人材と資金を戻し、会社全体を守るための経営判断です。

5. 利益と資金繰りを同じものだと思う

損益計算書で黒字でも、現金が足りなくなることがあります。

主な原因は次のとおりです。

・売掛金の回収が遅い
・在庫が増えている
・設備投資を現金で支払った
・借入元金を返済している
・税金を支払った
・前受金が減った
・買掛金をまとめて支払った

例えば、100万円の利益が出ていても、売掛金が300万円増え、在庫が200万円増え、借入元金を100万円返済すれば、現金は500万円減る可能性があります。

事業再生では、損益計算書と資金繰り表を両方見ます。

毎月確認する項目は、次の5つで十分です。

・粗利額
・固定費
・営業利益
・売掛金と在庫の増減
・月末現金残高

数字を増やしすぎると管理が続きません。まずは会社の資金に直結する項目に絞ります。

6. 利益改善の成功パターンと失敗パターン

成功パターン

成功例1:顧客別粗利を作成
売上上位顧客ではなく、粗利額上位顧客へ営業時間を集中しました。

成功例2:価格表を改定
小ロット料金、特急料金、配送費を設定し、売上を大きく落とさず粗利率を改善しました。

成功例3:赤字事業から撤退
追加投資を止め、黒字事業に人員を戻したことで、固定費と資金流出を抑えました。

失敗パターン

失敗例1:売上目標だけを引き上げる
現場の残業と外注費が増え、利益がさらに減りました。

失敗例2:全社一律の経費削減
必要な営業費や設備保全まで削り、売上と品質が落ちました。

失敗例3:値上げを一度断られて諦める
取引条件や対象商品の見直しをせず、赤字受注を続けました。

7. 今日できる3つ

今日①:売上上位10社ではなく、粗利額上位10社を並べる

今日②:赤字顧客・赤字商品・赤字事業を各3つ抽出する

今日③:値上げ、条件変更、撤退の3案を比較する

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