新事業進出・ものづくり補助金 みなし大企業とは|知らずに申請すると危ない判定ポイント

この記事でわかること

新事業進出・ものづくり補助金で見落としやすいみなし大企業について、どんな会社が該当するのかどこで判定されるのか例外はあるのか途中で該当するとどうなるのかを整理します。株主構成や役員構成が少し複雑な会社にとって、申請前に必ず確認したいテーマです。

この補助金では、会社の規模だけでなく、誰が株式を持っているか役員を誰が占めているかによって、対象外になることがあります。これがみなし大企業です。

怖いのは、「中小企業だから大丈夫」と思っていても、資本関係や役員構成によっては、制度上は中小企業として扱われないことがある点です。しかも、応募申請時だけでなく、補助事業完了までの間にみなし大企業に該当すると、交付決定取消の対象になり得ます。

この記事では、みなし大企業の定義をできるだけ噛み砕きながら、申請前に何を確認すべきかを実務目線で解説します。

目次

  • みなし大企業とは何か
  • みなし大企業に該当する6つのパターン
  • よくある誤解
  • 例外として扱われるケース
  • 途中で該当するとどうなるか
  • 申請前に確認すべきチェックポイント
  • 当社ができる支援
  • よくある質問

みなし大企業とは何か

みなし大企業とは、形式上は中小企業等に見えても、大企業や、それに準ずる支配関係のある会社に実質的に支配されていると判断される事業者のことです。公募要領では、みなし大企業は補助対象外として整理されています。

つまり、資本金や従業員数だけで中小企業の基準に入っていても、それだけでは足りません。株主構成や役員構成まで含めて、本当に独立した中小企業等として扱えるかが見られます。

ここが重要

みなし大企業の判断は、「従業員数が少ないか」ではなく、「誰が支配しているか」で見ます。

みなし大企業に該当する6つのパターン

公募要領では、みなし大企業に該当するケースが6つ示されています。まずは全体像を並べると分かりやすいです。

パターン内容実務上の見方
1同一の大企業が発行済株式総数または出資総額の1/2以上を保有大企業1社が過半数を持つ
2大企業全体で発行済株式総数または出資総額の2/3以上を保有複数大企業で強く支配
3大企業の役員・職員兼任者が役員総数の1/2以上役員構成で支配される
41〜3に該当する中小企業等が株式等を保有みなし大企業の連鎖
51〜3に該当する中小企業等の役員・職員兼任者が役員総数の全てを占める役員が完全に支配側
61〜5に該当する中小企業等が株式等の1/2以上を保有間接支配の連鎖

つまり、大企業が直接支配しているケースだけでなく、みなし大企業に当たる中小企業等を通じた間接支配も対象になります。ここが見落としやすい点です。

1.大企業1社が過半数を持っているケース

もっとも分かりやすいのが、同一の大企業が株式または出資の1/2以上を保有しているケースです。これは典型的なみなし大企業です。

たとえば、大企業A社がある中小企業の発行済株式の60%を持っていれば、その時点でみなし大企業に該当します。

2.複数の大企業で2/3以上を持っているケース

大企業が1社でなくても、複数の大企業が合計で2/3以上を保有している場合もみなし大企業です。

つまり、「1社ごとなら過半数ではないから大丈夫」とは言えません。合算で見る必要があります。

3.役員構成で支配されているケース

株式だけではありません。大企業の役員または職員を兼ねている者が、役員総数の1/2以上を占める場合もみなし大企業です。

たとえば、取締役4人のうち2人以上が大企業の役員・職員兼任なら該当します。なお、この判定でいう役員には、社外取締役と監査役は含まれません

4〜6.間接支配のケース

さらに厄介なのが、すでにみなし大企業に当たる中小企業等を通じた支配です。公募要領では、そうした中小企業等が株式を持っている場合や、役員を占めている場合も、連鎖的にみなし大企業と扱います。

つまり、「うちは大企業から直接出資を受けていないから大丈夫」とは限りません。親会社、関連会社、実質的支配関係まで見て判断する必要があります。

よくある誤解

みなし大企業は、見た目では分かりにくいので、誤解が起きやすいです。特に多いのは次の3つです。

よくある誤解実際の考え方
従業員数が少ないから大丈夫資本関係・役員構成も見る
大企業が1社で過半数を持っていなければ大丈夫複数大企業の合算でも該当する
直接出資がなければ大丈夫間接支配でも該当することがある

つまり、みなし大企業は「見た目の中小企業」を外すためのルールだと理解すると分かりやすいです。

例外として扱われるケース

公募要領では、一定の投資主体が株式を保有する場合は、その保有比率等だけをもってみなし大企業規定を適用しない例外も定めています。代表的なのは、中小企業投資育成株式会社投資事業有限責任組合、そして一定の投資専門会社が関与する事業承継会社などです。

ただし、この例外は広く何でも使えるものではありません。特に、VCや投資会社が入っているから自動的に大丈夫とは言えず、要領の定義に合っているかを個別に確認する必要があります。

途中で該当するとどうなるか

みなし大企業の判定は、応募申請日だけ見ればよいわけではありません。公募要領では、応募申請日から補助事業完了までの間にも及ぶとされています。

つまり、申請後や採択後に株主や役員を変更して、結果としてみなし大企業に該当すると、交付決定取消の対象になり得ます。

ここはかなり重要です。投資受入れや役員体制変更を予定している会社は、補助金との関係を先に整理しておかないと危険です。

実務のポイント

申請時に大丈夫でも、補助事業完了前の資本政策や役員変更でアウトになる可能性があります。補助金と資本政策は別々に考えない方が安全です。

申請前に確認すべきチェックポイント

みなし大企業でつまずかないためには、最低でも次を確認しておくと安全です。

  1. 発行済株式総数または出資総額の保有者
  2. 大企業による直接保有比率
  3. 複数大企業による合算保有比率
  4. 役員の兼任状況
  5. 親会社・関連会社を含めた間接支配の有無
  6. 今後予定している増資や役員変更の内容

特に、株主名簿と役員一覧を並べて確認すると、かなり見えやすくなります。

当社ができる支援

みなし大企業の確認で難しいのは、要領の文言を読むことより、自社の資本関係・役員構成を補助金ルールに当てはめることです。

当社では、

  • 株主構成と役員構成の整理
  • みなし大企業該当性の確認
  • 例外規定の当てはまり確認
  • 今後の資本政策や役員変更との整合確認
  • 他の対象外要件との照合

まで含めて伴走しています。

「中小企業のはずだが資本関係が少し複雑」
「VCや関連会社が入っていて不安」
「申請前にグレーを潰しておきたい」
そんな場合は、先に整理しておく方が無駄がありません。

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よくある質問

Q1. 大企業が少し出資しているだけでもアウトですか?

A. いいえ。出資比率や他の大企業との合算、役員構成まで見て判断します。過半数や3分の2など、要領上の基準を超えるかがポイントです。

Q2. 大企業が1社で過半数を持っていなければ大丈夫ですか?

A. そうとは限りません。複数の大企業で2/3以上を持つケースや、役員構成による該当もあります。

Q3. 社外取締役や監査役も役員数に入りますか?

A. みなし大企業判定のうち、役員兼任の基準では、社外取締役と監査役は含まれません。

Q4. 採択後に株主が変わってみなし大企業になったらどうなりますか?

A. 応募申請日から補助事業完了までの間にみなし大企業に該当すると、交付決定取消の対象になり得ます。

まとめ

みなし大企業で大切なのは、

  • 大企業の直接支配だけでなく間接支配も見ること
  • 株主構成だけでなく役員構成も確認すること
  • 例外規定があるが限定的だと理解すること
  • 申請後から補助事業完了までの変更も影響すること

この4つです。

まずは、「株主」「役員」「今後の変更予定」を一枚で整理するところから始めるのがおすすめです。