新事業進出・ものづくり補助金 建物費はどこまで対象か|新事業進出・ものづくり補助金の誤解しやすいポイント

この記事でわかること

新事業進出・ものづくり補助金でよく相談が多い建物費について、どの枠で使えるのか何が対象で何が対象外か見落としやすい注意点を整理します。新店舗、新工場、新拠点、改修工事を考えている事業者向けに、実務で迷いやすい点を分かりやすくまとめた記事です。

新事業進出・ものづくり補助金の中でも、建物費は特に誤解が多い経費です。

「店舗を作るなら全部いけるのか」
「建物を買うのも対象ではないか」
「内装工事なら何でも対象なのか」
と考えやすいのですが、実際はかなりルールがあります。

この補助金で建物費が使えるのは、新事業進出枠とグローバル枠だけです。しかも、ただ建物にお金を使えばよいのではなく、専ら補助事業のために使う建物であること建設・改修の必要性が事業計画とつながっていること相見積もり等の手続きが整っていることが必要です。

この記事では、建物費の範囲をできるだけ具体的に整理しながら、「ここは通りやすい」「ここは危ない」というポイントまで掘り下げていきます。

目次

  • 建物費が使える枠はどれか
  • 建物費として対象になるもの
  • 建物費として対象外になりやすいもの
  • 撤去費と構築物はどこまで入るのか
  • どんな業種で建物費を使いやすいか
  • 申請時に気をつけたいポイント
  • 当社ができる支援
  • よくある質問

建物費が使える枠はどれか

まず大前提として、建物費が使えるのは新事業進出枠グローバル枠だけです。革新的新製品・サービス枠では、建物費は補助対象経費に入っていません。

さらに、新事業進出枠とグローバル枠では、機械装置・システム構築費または建物費のいずれかが必須です。つまり、建物費は「使ってもよい経費」ではありますが、単独で浮いている経費ではなく、補助事業の中核に近い位置づけで考える必要があります。

建物費必須経費の考え方
革新的新製品・サービス枠対象外機械装置・システム構築費が必須
新事業進出枠対象機械装置・システム構築費または建物費が必須
グローバル枠対象機械装置・システム構築費または建物費が必須

建物費として対象になるもの

建物費として対象になるのは、主に次の3つです。

  1. 専ら補助事業のために使用される建物の建設・改修
  2. 補助事業実施のために必要となる建物の撤去
  3. 専ら補助事業のために使用される建物に付随する構築物の建設

ここで特に重要なのが、「専ら補助事業のために使用される」という考え方です。つまり、新しい事業のための生産施設、加工施設、販売施設、検査施設、作業場など、事業計画で示した補助事業に直結して使う建物である必要があります。

また、対象になるのは、減価償却資産の耐用年数等に関する省令における「建物」「建物附属設備」に係る経費です。つまり、何となく建物まわりの支出なら何でも入るわけではなく、制度上の建物・附属設備に当たるものとして整理できる必要があります。

ここが重要

建物費は、「新しい事業のための建物」として説明できることが前提です。既存事業でも共用する建物だと、かなり慎重に見られやすいです。

建物費として対象外になりやすいもの

建物費でいちばん誤解されやすいのが、建物の単なる購入や賃貸は対象外だという点です。

つまり、すでに完成している建物をそのまま買う、物件を借りる、その賃料を計上する、といった考え方は建物費では通りません。

また、建物費に見えても、次のようなものは慎重に考える必要があります。

  • 既存事業と補助事業が混在する建物
  • 将来、不動産賃貸に回すことを前提にした建物
  • 補助事業と関係の薄い見栄え目的の改装
  • 建物の購入費や賃借料そのもの

特に重要なのは、補助事業により取得した建物等を不動産賃貸等へ転用することは一切認められないという点です。もし転用された場合、目的外使用と判断され、残存簿価相当額等の返納が必要になる可能性があります。

要するに、建物費は「資産形成」や「不動産活用」のための補助ではなく、あくまで新しい事業を実行するための建物整備として見られます。

撤去費と構築物はどこまで入るのか

建物費では、建物本体の建設・改修だけでなく、一定の条件で撤去費構築物も対象になります。

撤去費

補助事業実施のために必要となる建物の撤去は対象になり得ます。ただし、撤去費だけを単独で計上することは認められません。必ず、建物の建設・改修に係る経費をあわせて計上していることが必要です。

構築物

建物に付随する構築物も対象になり得ますが、条件があります。対象になるのは、建設・改修する建物に付属または隣接しており、一体的に使用される構築物で、しかもその建物より耐用年数が短いものです。これも、構築物だけを単独で計上することはできません。

項目対象可否注意点
建物の建設・改修対象専ら補助事業のために使用されること
建物の撤去条件付きで対象建設・改修経費の計上が前提
付随する構築物条件付きで対象建物と一体利用、耐用年数条件あり
建物の単なる購入対象外買うだけは不可
建物の賃貸対象外借りるだけは不可

どんな業種で建物費を使いやすいか

建物費は、特定業種限定ではありません。ただ、実務上は建物の必要性を事業計画に結びつけやすい業種と相性が良いです。

たとえば、次のようなケースは比較的説明しやすいです。

  • 製造業が新市場向け製品のために新たな加工・検査スペースを整備する
  • 食品業が新ブランドや新販路向けに加工・販売施設を整備する
  • 小売・サービス業が既存事業と異なる顧客層向けの販売施設を新設・改修する
  • 輸出を見据えた事業者が国内製造・保管・出荷体制の強化のために建物整備を行う

逆に、既存事業の延長として見えるケースや、建物そのものが主役に見えるケースは弱くなりやすいです。重要なのは、建物が必要だから申請するのではなく、補助事業を実現するために建物整備が必要という順番で説明することです。

申請時に気をつけたいポイント

建物費を計上する場合、申請時は通常の設備投資以上に慎重さが必要です。

1.相見積もりを前提に動く

建物費は、入札または相見積もりが必要です。まず1社にだけ相談して終わるのではなく、比較可能な状態を早めに作った方が安全です。

2.補助事業との専用性を説明する

その建物が、なぜ補助事業のために必要なのか、既存事業とはどう区別されるのかを言語化しておく必要があります。

3.採択後の減額リスクを前提にする

応募時に計上した経費が、そのまま全部認められるわけではありません。採択後の交付申請で、必要性や妥当性の精査が入り、減額や対象外になることがあります。

4.将来の使い方まで見ておく

補助事業終了後に、建物を賃貸へ回す、不動産活用に転用する、といった構想があると危険です。取得財産の扱いまで見据えておく必要があります。

申請でよくある失敗

建物費は金額が大きい分、「何に使うか」より「なぜ必要か」の説明が弱いと危ないです。建物の話だけが先に立つと、補助事業との一体性が見えにくくなります。

当社ができる支援

建物費で難しいのは、制度を読むことより、自社の計画が「建物整備の話」ではなく「新事業の話」として伝わる形に整理することです。

当社では、

  • 建物費が使える枠の整理
  • 対象・対象外の切り分け
  • 既存事業と補助事業の区分整理
  • 相見積もり取得と資金計画の考え方整理
  • 採択後の交付申請まで見据えた伴走

まで含めてサポートしています。

「この工事が建物費に入るのか分からない」
「購入はだめでも改修ならいけるのか迷う」
「建物費を入れたいが、どう説明すれば通りやすいか分からない」
そんな場合は、早めに整理する方が安全です。

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よくある質問

Q1. 建物を買う費用は対象ですか?

A. いいえ。建物の単なる購入は対象外です。対象になるのは、専ら補助事業のために使用される建物の建設・改修などです。

Q2. 建物を借りる家賃は対象ですか?

A. いいえ。建物の単なる賃貸は対象外です。

Q3. 撤去費だけ計上できますか?

A. できません。撤去費は対象になり得ますが、建物の建設・改修に係る経費をあわせて計上していることが必要です。

Q4. 構築物だけを建物費として入れられますか?

A. できません。建物に付属または隣接し、一体利用される構築物が対象ですが、建物の建設・改修経費の計上が前提です。

まとめ

建物費で大切なのは、

  • 使えるのは新事業進出枠とグローバル枠だけ
  • 建物の単なる購入や賃貸は対象外
  • 撤去費や構築物は条件付きで対象
  • 専ら補助事業のために使う建物として説明すること

この4つです。

まずは、「その建物が新事業に本当に必要か」「建設・改修なのか、購入・賃貸なのか」「相見積もりが取れるか」を整理するところから始めるのがおすすめです。