新事業進出・ものづくり補助金 クラウドサービス利用費はどこまで対象か|よくある計上ミスを解説
この記事でわかること
新事業進出・ものづくり補助金で見落としやすいクラウドサービス利用費について、どこまでが対象になるのか、どんな計上ミスが起きやすいのか、申請時にどう整理すべきかを分かりやすく整理します。SaaS、WEBプラットフォーム、サーバー利用料などを補助対象経費に入れたい事業者向けの記事です。
新事業進出・ものづくり補助金では、設備や建物に比べて、クラウドサービス利用費は軽く見られやすいです。ですが、実務ではここでの計上ミスが意外と多いです。
特に多いのが、「クラウドなら全部対象だと思っていた」という勘違いです。実際には、何でも対象になるわけではありません。
大切なのは、補助事業のために専用で使うクラウドサービスか、契約期間が補助事業実施期間とどう重なるか、本体費用や共用費用が混ざっていないかです。
この記事では、クラウドサービス利用費の考え方を、よくある失敗例まで含めて整理します。
目次
- クラウドサービス利用費とは何か
- 対象になりやすいもの
- 対象外になりやすいもの
- 契約期間が補助事業実施期間をまたぐ場合の考え方
- どんな業種で使いやすいか
- 申請時によくある計上ミス
- 当社ができる支援
- よくある質問
クラウドサービス利用費とは何か
クラウドサービス利用費とは、補助事業のために利用するクラウドサービスやWEBプラットフォーム等の利用に関する経費です。
ここで大切なのは、単に「インターネット経由で使うサービス」だから対象、という考え方ではないことです。対象になるのは、専ら補助事業のために利用するものに限られます。
つまり、既存事業でも日常的に使っているクラウドや、会社全体で共用しているサービスを、そのまま全部補助金へ入れるのは危険です。
ここが重要
クラウドサービス利用費は、「クラウドだから対象」ではなく、「補助事業専用だから対象」です。
対象になりやすいもの
公募要領で整理しやすいものとして示されているのは、次のような費用です。
- サーバーの領域を借りる費用
- サーバー上のサービスを利用する費用
- 補助事業専用で使うWEBプラットフォーム利用料
- 補助事業に必要な最低限の付帯経費
たとえば、新サービス提供のためのクラウド基盤、補助事業専用のWEBサービス運用費、専用システムのクラウド利用料などは整理しやすいです。
また、付帯経費として、ルータ使用料、プロバイダ契約料、通信料等も対象になり得ます。ただし、これは何でも入るという意味ではなく、補助事業に必要な最低限の範囲で考える必要があります。
| 費用の例 | 対象になりやすさ | 考え方 |
|---|---|---|
| 補助事業専用のクラウド利用料 | 高い | 専用利用なら整理しやすい |
| サーバー領域の利用料 | 高い | 補助事業期間分のみ対象 |
| サーバー上のサービス利用料 | 高い | 補助事業専用であることが重要 |
| 付帯する通信料等 | 条件付き | 必要最小限であることが前提 |
対象外になりやすいもの
クラウドサービス利用費で特に誤解が多いのは、対象外の線引きです。
まず、次のものは対象外と考えた方が安全です。
- 自社の他事業と共有するクラウドサービス
- サーバー購入費
- サーバー自体のレンタル費
- パソコン・タブレット・スマートフォンなどの本体費用
- 会社全体で使う一般的な通信費
- 目的外使用になり得る汎用機器や汎用ソフト
特に注意したいのは、クラウド関連費用と機器本体費用を混同しやすいことです。クラウドサービスを使うためのノートPCやタブレットを一緒に入れたくなりますが、本体費用は別で見られ、対象外になりやすいです。
また、インターネット利用料金も、通常の会社経費として見られると弱いです。補助事業に付帯する最低限の通信料として整理できるかどうかがポイントです。
よくある勘違い
「クラウドを使うのに必要だからPCも入るだろう」と考えやすいですが、サービス利用料と端末本体費用は別物です。
契約期間が補助事業実施期間をまたぐ場合の考え方
クラウドサービス利用費で見落としやすいのが、契約期間です。
公募要領では、補助対象になるのは補助事業実施期間中に要する経費のみとされています。つまり、年間契約や複数年契約を結んでいる場合でも、その全部が対象になるわけではありません。
補助事業実施期間を超える契約であれば、補助事業実施期間分だけを按分して計上する必要があります。
ここは実務上かなり大事です。クラウドは月額・年額契約が多いので、見積書や契約書で期間と金額が確認できる状態にしておかないと、交付申請で整理し直しになりやすいです。
| 契約形態 | 考え方 | 注意点 |
|---|---|---|
| 月額契約 | 実施期間中の月数分を計上 | 開始月・終了月の確認が必要 |
| 年額契約 | 実施期間分を按分 | 契約書で期間確認が必要 |
| 複数年契約 | 実施期間分のみ按分 | 全額計上は危険 |
どんな業種で使いやすいか
クラウドサービス利用費は、特定業種だけの経費ではありません。むしろ、システムやWEBサービスを活用して新しい事業を動かす業種と相性がよいです。
たとえば、次のようなケースは整理しやすいです。
- サービス業が新サービス提供のために専用クラウドを使う
- 製造業が新製品関連のデータ管理・受発注・検査系システムを使う
- 小売業が新規ECやWEBプラットフォームを立ち上げる
- 建設業が新規事業用の業務システムや顧客対応基盤を使う
- グローバル枠で海外向け運用基盤を整える
ただし、どの業種でも共通して重要なのは、そのクラウドサービスが「新しい補助事業のため」に使われることです。既存事業の通常運用に広く使っているものをそのまま入れるのは難しいです。
申請時によくある計上ミス
クラウドサービス利用費は便利な反面、計上ミスも起きやすいです。特に多いのは次のようなケースです。
1.既存事業との共用をそのまま入れてしまう
補助事業でも使うからといって、会社全体で使っているクラウド費用を丸ごと入れるのは危険です。
2.本体費用を混ぜてしまう
パソコン、タブレット、スマートフォンなどの端末本体は対象外です。クラウド利用料と分けて整理する必要があります。
3.年額契約を全額入れてしまう
補助事業実施期間を超える部分まで含めると、交付申請で修正が必要になりやすいです。
4.見積や契約内容が確認できない
何のサービスを、いつからいつまで、いくらで利用するのかが分からないと整理しにくいです。
5.汎用的な利用に見えてしまう
補助事業専用ではなく、会社の通常業務全般に使うサービスだと弱くなりやすいです。
よくある失敗
クラウドサービス利用費は、「毎月払っているからそのまま入れる」という考え方だと失敗しやすいです。補助事業との専用性と期間按分がポイントです。
当社ができる支援
クラウドサービス利用費で難しいのは、経費区分を読むことより、「これは補助事業専用の費用だ」と伝わる形に整理することです。
当社では、
- クラウドサービス利用費の対象可否整理
- 既存事業との共用部分の切り分け
- 按分の考え方の整理
- 見積・契約内容の確認
- 交付申請まで見据えた伴走
まで含めてサポートしています。
「このSaaSが対象になるか不安」
「会社全体で使っているクラウドをどう分ければいいか分からない」
「年額契約をどう計上すべきか迷う」
そんな場合は、早めに整理する方が安全です。
よくある質問
Q1. 会社全体で使っているクラウドサービスも入れられますか?
A. そのままでは難しいです。自社の他事業と共有する場合は補助対象になりません。
Q2. サーバー購入費は対象ですか?
A. いいえ。対象になるのはサーバー領域を借りる費用やサーバー上のサービス利用費で、サーバー購入費は対象外です。
Q3. サーバーのレンタル費は対象ですか?
A. サーバー自体のレンタル費は対象外です。
Q4. ルータ使用料や通信料は対象になりますか?
A. 補助事業に必要な最低限の付帯経費として整理できる場合は対象になり得ます。ただし、通常の会社経費まで広く入れるのは危険です。
Q5. パソコンやタブレットも一緒に入れられますか?
A. いいえ。本体費用は補助対象外です。
まとめ
クラウドサービス利用費で大切なのは、
- 補助事業専用の利用であること
- サーバー領域利用料やサービス利用料が中心であること
- 本体費用や共用費用を混ぜないこと
- 契約期間が補助事業実施期間を超える場合は按分すること
この4つです。
まずは、「そのクラウドが補助事業専用か」「契約期間はどうなっているか」「本体費用が混ざっていないか」を整理するところから始めるのがおすすめです。

